2021年9月30日木曜日

生物寺子屋講座

筑波大学生物学類では、卒業研究に入る前の学生さん向けに少人数制で専門性の高い授業を「生物寺子屋講座」として開講しています。稲葉研では「鞭毛・繊毛の生物学」というテーマで、関連分野の科学論文の熟読や下田臨海実験センターのフィールドを活かした生物採集、研究室の最新機器を用いた観察、記録、解析を体験してもらう講座を担当しています。

延期になっていた1回目の寺子屋講座を無事開講できました。3日間の短い実習でしたが巻貝の異型精子の形態・運動観察、ウニのマドレポライトの水流観察という臨海実習ならではのテーマで自由に研究してもらいました。

堤防に付着した貝類を採集中
解剖した生物の精子や組織を顕微鏡下で観察



研究成果をスライドで報告

淡水性巻貝カワニナの異型精子(左)と正型精子(右)

 

ウニやヒトデなどの棘皮動物は水管系と呼ばれる運動や循環のための特有の器官を持っています。水管系内の水圧によって伸縮する管足でウニは移動することができます。マドレポライトは水管系に海水を取り込むために重要な構造体です。ふるいのように無数の穴が空いています。この穴の中にはチューブ状の構造がありその表面には繊毛が生えていて海水を体内へと取り込んでいます。

管足と叉棘が激しく動いている様子

 
 
マドレポライト上の水流


2021年9月17日金曜日

女川ホヤ

今年も女川からホヤが届きました!例年より少し早いです。

感染症拡大の影響を受け、今年も女川まで採集に行くことができないので、送っていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。この時期野生のホヤを使用することはできないので非常に助かります。サイズの大きい立派な女川ホヤがたくさん届きました! 




2021年9月9日木曜日

動物学会とDynein2021

 9月に入ってから例年参加している二つの学会がオンラインにて開催されました。稲葉研からは以下のポスター発表を行いました。

オンラインならではの気軽さもありますが、来年以降は対面での学会発表が再開されますように。やはり対面での研究交流は重要なことだと強く感じました。

第92回日本動物学会オンライン米子大会

 ○柴 小菊,稲葉 一男(ポスター発表)
ホヤ精子の鞭毛運動調節におけるCNGチャネルの役割
The role of CNG channel in the regulation of flagellar motility in the ascidian sperm

○城倉圭,佐藤友,柴 小菊,稲葉 一男(ポスター発表)
クシクラゲ櫛板の構築とその繊毛運動におけるCTENO189の役割
The role of CTENO189 in the structure and ciliary motility of ctenophore comb plate

○佐藤友,城倉圭,柴 小菊,稲葉 一男(ポスター発表)
クシクラゲ櫛板を構成する新規タンパク質BmBTBD19およびCTENO78により示された繊毛間リンクの2段構造 
Two-stage structure of the interciliary linkage indicated by the novel proteins BmBTBD19 and CTENO78 in the comb plate of the Ctenophore

The virtual Dynein 2021 International Workshop

○Kogiku Shiba, Kazuo Inaba(ポスター発表)
The role of CNG channel in the regulation of flagellar motility in the ascidian sperm

○Kei Jokura, Yu Sato, Kogiku Shiba, Kazuo Inaba(ポスター発表)
A novel protein CTENO189 is involved in the maintenance of asymmetric ciliary movements in the comb plates of ctenophores