恒例の大掃除と今年は感染対策をしつつ忘年会も行いました。
稲葉先生が忘年会のために朝から釣りに行ってくれました |
カマスが大漁! |
一か月遅れのお誕生会も |
大掃除で見つかったデジカメの中から出てきた2009年の写真 |
柴小菊助教が統括班メンバーとして参加している学術領域「ジオラマ環境で覚醒する原生知能を定式化する細胞行動力学(略称:ジオラマ行動力学)」が、文部科学省科学研究費助成事業 「学術変革領域研究(A)」に採択されました。担当するグループでは研究分担者である稲葉先生、琉球大学の守田さんとともに「ジオラマ環境下における精子走化性の応答計測とメカニズムの解明」を目指します。
統括班会議のため、領域内の赤潮研究グループの拠点でもある瀬戸内海区水産研究所を訪問しました。
研究所の目の前の浮桟橋 |
向かいに見える大きな島が世界遺産の厳島 |
古そうな機械に見えますが現役の蛍光高度計だそうです |
10/20-22に大学院共通科目「海洋生物の世界と海洋環境講座 Marine Life and Environment」が開催されました。大学院共通科目は、生物系以外の専攻に所属する筑波大学院生も受講できる授業です。今年も数理、体育、物理など多様な分野から参加者が集まりました。研究調査船によるプランクトン採集、磯採集、精子運動の観察などを通して、海洋生物の多様性および海洋環境についての理解を深めることを目的としています。
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研究調査船つくばIIでのプランクトン採集 |
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伊豆諸島が見渡せました |
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プランクトンを回収中 |
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実習室での講義と観察 |
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磯採集 |
観察された多様なプランクトン
10月になってさまざまな規制が緩和されたため、女川出張が可能になりました。大きく育った女川ホヤから新鮮な精子を集めるために東北大学女川フィールドセンターで作業を行わせていただきました。
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女川港 |
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沖に吊るしていただいていたポットからホヤを回収しました |
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多様な付着生物に混じって大きなホヤが |
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屋内実験施設をお借りして採精作業 |
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津波の際に残ったセンター旧宿舎の取り壊し作業中でした。震災前に長期滞在してホヤ精子を集めた稲葉研のメンバーがとてもお世話になった宿舎です。奥の建物が新棟で宿泊施設も完備されています。
筑波大学生物学類では、卒業研究に入る前の学生さん向けに少人数制で専門性の高い授業を「生物寺子屋講座」として開講しています。稲葉研では「鞭毛・繊毛の生物学」というテーマで、関連分野の科学論文の熟読や下田臨海実験センターのフィールドを活かした生物採集、研究室の最新機器を用いた観察、記録、解析を体験してもらう講座を担当しています。
延期になっていた1回目の寺子屋講座を無事開講できました。3日間の短い実習でしたが巻貝の異型精子の形態・運動観察、ウニのマドレポライトの水流観察という臨海実習ならではのテーマで自由に研究してもらいました。
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堤防に付着した貝類を採集中 |
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解剖した生物の精子や組織を顕微鏡下で観察 |
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研究成果をスライドで報告 |
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淡水性巻貝カワニナの異型精子(左)と正型精子(右) |
ウニやヒトデなどの棘皮動物は水管系と呼ばれる運動や循環のための特有の器官を持っています。水管系内の水圧によって伸縮する管足でウニは移動することができます。マドレポライトは水管系に海水を取り込むために重要な構造体です。ふるいのように無数の穴が空いています。この穴の中にはチューブ状の構造がありその表面には繊毛が生えていて海水を体内へと取り込んでいます。
管足と叉棘が激しく動いている様子
9月に入ってから例年参加している二つの学会がオンラインにて開催されました。稲葉研からは以下のポスター発表を行いました。
オンラインならではの気軽さもありますが、来年以降は対面での学会発表が再開されますように。やはり対面での研究交流は重要なことだと強く感じました。
○柴 小菊,稲葉 一男(ポスター発表)
ホヤ精子の鞭毛運動調節におけるCNGチャネルの役割
The role of CNG channel in the regulation of flagellar motility in the ascidian sperm
○城倉圭,佐藤友,柴 小菊,稲葉 一男(ポスター発表)
クシクラゲ櫛板の構築とその繊毛運動におけるCTENO189の役割
The role of CTENO189 in the structure and ciliary motility of ctenophore comb plate
○佐藤友,城倉圭,柴 小菊,稲葉 一男(ポスター発表)
クシクラゲ櫛板を構成する新規タンパク質BmBTBD19およびCTENO78により示された繊毛間リンクの2段構造
Two-stage structure of the interciliary linkage indicated by the novel proteins BmBTBD19 and CTENO78 in the comb plate of the Ctenophore
The virtual Dynein 2021 International Workshop
○Kogiku Shiba, Kazuo Inaba(ポスター発表)
The role of CNG channel in the regulation of flagellar motility in the ascidian sperm
○Kei Jokura, Yu Sato, Kogiku Shiba, Kazuo Inaba(ポスター発表)
A novel protein CTENO189 is involved in the maintenance of asymmetric ciliary movements in the comb plates of ctenophores
Springer Natureが厳選した著名科学誌に掲載された論文の中から各研究機関の月1本を紹介するResearch Highlightで稲葉研の論文が選ばれて紹介文が掲載されました。
https://www.natureindex.com/highlights/513906bb34d6b65e6a0001aa
https://www.natureindex.com/article/10.1126/sciadv.abf3621#highlight
筑波大学からは毎月多くの論文が発表されています。その中から筑波大学発のめざましい研究成果として取り上げられたことはうれしい限りです!
過去にも二つのハイライト記事が掲載されています。タイトルの付け方がどれも魅力的です。さすがNatureの編集者ですね。
https://www.natureindex.com/article/10.1016/j.cub.2019.08.059#highlight
https://www.natureindex.com/article/10.1073/pnas.1902538116#highlight
カブトクラゲの論文は筑波大学の広報誌「TSUKU COMM」にも取り上げられました!
https://tsukucomm.sec.tsukuba.ac.jp/contents/TC-46/html5.html#page=17
京都大学数理解析研究所(RIMS)の石本さんが中心となって企画されている生物流体力学に関わる5つの研究集会「Biofluid2021」にさきがけて開催されたチュートリアル研究会「生物の創るパターンとダイナミクス:基礎からの展開」において稲葉先生がオンライン講演を行いました。
Biofluid2021の研究集会「Biofluid Symposium」では稲葉先生が、「Reproduction」 では柴助教が講演を予定しています。
国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)によるHFSP(ヒューマンフロンティアサイエンスプログラム)に採択されました。
2021年度ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)受賞者
生体の精妙かつ複雑なメカニズムに焦点を当てた革新的、学際的、かつ新規性を備えた基礎研究に与えられるヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)に、アリゾナ州立大学のKe Hu教授と稲葉先生の共同研究が採択されました。
研究期間は3年間で、サンゴと褐虫藻の共生関係を細胞骨格シグナル伝達の視点で解明することを目指します。